プログラミング的思考とは?論理的思考とどう違う?必要性や鍛える方法も徹底解説
更新日:2025.4.30
公開日:2023.2.6

「プログラミング的思考」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。文部科学省が推進するプログラミング教育。それに伴い、子どもたちが将来どのような職業を選択するのかを問わず必要とされる能力がプログラミング的思考です。また、世間一般にもプログラミング的思考は重要であると注目されつつあります。そこで、本記事ではプログラミング的思考の概要や身につくスキル、学習方法などを含めてその必要性について解説します。
この記事の目次
1.プログラミング的思考とはどういったものなのか
プログラミング的思考とは、何かを作りたいときや、問題を解決したいときに、「どのようにすればうまくいくか」を順番に考えていく力のことです。
文部科学省では「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」と定義されています。
例えば、お菓子を作る時、材料を混ぜて焼くという大まかな流れは決まっているが、どの材料をどのような順番で混ぜるのか、焼くときのオーブンの温度は何度なのかなどの細かい手順を考えなければ、うまくお菓子は作れません。
プログラミング的思考も同じで、コンピュータに何かをさせたいときどのような順番でどのような指示を出せばいいのか、細かく考えていかなければいけません。
プログラミング的思考を身につけるには、さまざまな方法を試し、失敗から学ぶことが大切です。プログラミングのコーディングと混同している人もいますが、正確には違います。プログラミングは、コンピュータに指示を出すための言葉や道具のようなものです。プログラミング的思考は、その言葉や道具を使って思い通りに動かすことを考える力になります。プログラミング的思考は、物事を順序だてて考え、問題解決をするために必要な考え方です。
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1-1.プログラミング的思考と論理的思考の違いは?
論理的思考とプログラミング的思考を同じものだと勘違いされることも少なくありません。論理的思考はロジカルシンキングとも呼ばれており、こちらも筋道を立てて考える能力です。そのため、プログラミング的思考に似ている部分もあります。正確には、論理的思考のなかにプログラミング的思考が含まれており、プログラミング的思考は論理的に考えることに加え、順序やプロセスの効率性にも目を向けているものです。
2.プログラミング的思考が現代で必要な理由
ICT(通信技術)の発達がめざましく、将来的にもこの流れはさらに加速していくだろうと考えられているのが現状です。そういったなかで新しい技術を使いこなせるようになるためには、さまざまなことに柔軟に対応できるプログラミング的思考が求められています。ITエンジニアを目指していない人であっても、今後の社会で生きていくための必須スキルとして、プログラミング的思考は身につけておかなくてはなりません。大人だけではなく、これは子どもにも必要なものです。プログラミング教育は必修化されており、スムーズに理解できるようになるためにも小学生の頃からプログラミング的思考を伸ばしておくのが望ましいといえます。
日本では社会問題としてIT人材の不足が挙げられます。IT社会になりつつある世の中に対して、2023年現在は約34万人、2030年には約80万人の人材が不足すると予想されている状態です。プログラミング教育が必修化された背景には、こういったことも理由のひとつとなっています。プログラミングを通してプログラミング的思考を育て、新しい仕事や自動化システムを生み出せる人材が一人でも多く誕生することが期待されています。
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3.プログラミング的思考で身に付く5つの能力とは?
プログラミング的思考は学習することで「分解して考える能力」「組みわせて考える能力」「シミュレーション能力」「抽象化する能力」「物事を一般化する能力」の5つを身につけられるといわれています。こちらでは、それぞれについて詳しく見てみましょう。
3-1.1.分解して考える能力
大きな問題を前にして、どこから取り掛かればいいのか悩んだことはないでしょうか。「分解して考える能力」とは、大きな問題を解決するために、小さく分解して考えることを指します。問題が大きく複雑な場合、そのままではどこから取りかかればよいのかわからないケースも多いです。そのため、まずは元の大きな問題を解決する流れを考え、小さな問題から解決をしていくほうが論理的といえます。
例えば、散らかった部屋を掃除するとき、部屋をきれいにするという大きいタスク全体を見るのではなく、部屋をきれいにするために、まず棚から片づけるというように、小さくて簡単に解決できる問題に分けていきます。棚が終わったら次は引き出し、次は机の上というように、小さな問題に分解して考えることで、どこから手を付ければいいか分かりやすく、一つひとつのステップに集中でき、全体の流れを把握しやすくなります。
分解して考えることは、問題解決能力を高めるのに大切なことです。大きな問題にぶつかった時は、焦らずに小さな問題に分解してみましょう。そうすることで、問題解決がスムーズになります。
3-2.2.組みわせて考える能力
「組み合わせて考える能力」とは、何かを実現するために、複数の要素を繋ぎ合わせ、より良い方法を考え出す力のことです。プログラミングではこの能力が特に重要です。
プログラミングには、手順を順番に実行する「順次」、条件によって処理を分ける「選択」、同じ処理を繰り返す「繰り返し」という3つの基本的な処理を組み合わせて、アニメーションやゲームなどさまざまなプログラムを作っていきます。例えば、アニメーションを完成させるのに5つの指示だけでは、思うような動きにならなかった時、「順次」と「選択」と「繰り返し」のどれを組み合わせて、どのような指示を出せば思った通りの動きになるのか考え、試行錯誤しながらアニメーションを完成させていきます。プログラミング的思考を持つことで、組み合わせて考える力もついていきます。
3-3.3.シミュレーション能力
「シミュレーション能力」はなにかをする際に自分なりの考えの組立を行った後、頭の中でその組立通りにあらかじめシミュレーションをしてから行動に移すことです。たとえば、料理を作る際に完璧なレシピを用意していても、必ずしもその通りにできるとは限りません。適当に作っていては失敗することもあります。たとえば、ケーキを作る際には材料の量を正確に計らなければ、ふっくらとしたスポンジケーキに仕上がりません。
料理をする前には所要時間は十分か、道具はすべて揃っているか、出来上がるタイミングや家族が好む料理かといったシミュレーションをしてから調理します。レシピ通りに料理を作るためにはシミュレーション能力は必須です。材料や道具を用意するだけではなく、必要に応じて作る前に材料と道具を行程別に分けてまとめておけば、さらに効率的に作ることができます。
3-4.4.抽象化する能力
「抽象化する能力」とは余計な部分を捨て、大事な部分のみを抜き出すことです。たとえば、プログラミングを勉強する際はプログラミングの機能面に注目するのがポイントになります。プログラムの内容については、最初は横に置いておきましょう。抽象化する能力が高いほど、シンプルなコードが書けるようになります。コードはプログラムの細かな処理を詳しく並べるより、抽象してわかりやすい機能に分けたほうが見やすいです。たとえば、食べ物でうどん、ラーメン、そばはそれぞれ違う食べ物ですが、「麺」というグループとして一つにまとめられます。
抽象化する能力を鍛えると理解力、発想力、説明力などを高めることが期待できます。具体的には、新しい法則を見つけたり、過去の経験を応用したりできるようになるため、理解力が高まると同時に問題の解決力も高いです。物事を本質・特徴別にグループ化できるので、これまでになかったグループを見つけられるなど斬新な発想力で活躍できるようになります。
3-5.5.物事を一般化する能力
「物事を一般化する能力」は物事の共通点・類似性を見つけ出し、ほかの場所やほかの人でも利用できるようにすることです。一般化すると、物事の予想ができたり、さまざまな問題を解いたりできます。たとえば、難しい数字の解き方を誰でもわかるように解説した参考書は、一般化の典型的な例です。さらに具体的にいえば、外国語の本を自分なりに翻訳してまとめ、ほかの人がその本の内容を理解できるようにする行為は一般化といえます。
一般化するためにはわかりやすい言葉を見つけ、文章の組立などを考えなければなりません。わかりやすい言葉を見つけるためには、自分自身がそれについて正確に理解しておく必要があります。文章の順番、言葉の選び方次第では正しい意味が伝わらない可能性があります。頭で理解をしていても、それを実際に言葉として口に出そうとするとうまく伝わらない経験がある人もいるのではないでしょうか。物事を一般化する能力はそういった場合でも、相手にわかりやすく分解して説明したいときに役立つ能力です。
関連リンク:https://www.hallo.jp/fs/column/20230324/
4.子どもがプログラミング的思考を身に付けるための方法
プログラミング的思考を子どもが身につけるには一朝一夕というわけにはいきません。日常生活から少しずつ、できるだけ楽しみながら習得させるのがポイントです。こちらでは子どもがプログラミング的思考を身につけるための方法について解説します。
4-1.お手伝いを通して学ぶ
子どもにプログラミング的思考を自然に身につけさせたい場合は、家事のお手伝いをしてもらうのがおすすめです。たとえば、料理を作るためにはメニューの決定、食材の選択、調理手順の整理、実際に作るといった作業に分けられます。料理をする際の流れとしては当たり前の流れですが、これも一種のプログラミング的思考といえるでしょう。おかずを複数作る場合、1品ずつ作っていると時間がかかってしまいます。
ハンバーグ、ごはん、味噌汁、野菜炒めなどをメニューとして出す場合を例に挙げてみましょう。この場合、出来上がりまで時間がかかるごはんを優先します。まずはお米を先に洗って炊飯にセットし、次に野菜炒めや味噌汁、ハンバーグで使う材料をカットする、ハンバーグを焼くのは最後にするといった流れです。調理の流れは最短で、そして効率的に考える行為がプログラミング的思考につながります。
年齢にもよりますが、家事を手伝ってもらうときにはできるだけ手順を説明しないほうがよいでしょう。これは、子どもに自分自身で考えてもらうためです。たとえば、洗濯をしてほしい場合は「洗濯をお願い」とのみ伝えて様子を見ます。子ども自身がどのような手順でやればよいのかを考えることがプログラミング的思考では重要です。
4-2.ゲームや玩具を通して学ぶ
ゲームで遊びながら、「プログラミング的思考」を育むこともできます。
たとえば、マインクラフトで、自分だけの世界を作り上げることは、まるでプログラミングでプログラムを作ることと同じ。ブロックを組み合わせて家を建てたり、仕掛けを作ったりする体験を通して、物事を順序立てて考える力や問題解決能力が自然と身につきます。
他にも、UNOや人生ゲームのようなカードゲーム・ボードゲームもおすすめです。これらのゲームでは、どのカードを出すか、どのマスに進むかなど、状況に合わせて最適な判断を迫られます。何度もゲームを繰り返すうちに、論理的な思考力が育っていきます。
パズルやブロック遊びも、プログラミング的思考を育むのにぴったりです。レゴブロックで複雑な建物を作ったり、パズルを解いたりする過程で、空間認識能力や創造性が養われます。
4-3.ロボットプログラミングで学ぶ
ロボットプログラミングは、ただロボットを動かすだけでなく、プログラミング的思考を育むことができます。
ロボットプログラミングの学習例としては、目標を決めること、細かく分けること、ロボットに命令を出すこと、動かして確かめることなど、ロボット作りを通して学んでいきます。具体的には、ロボットに円を描くように歩かせたい目標を設定したとします。次に、その目標に必要な動作をさせるために、右足の動き、左足の動き、どれくらいの角度で曲がるかなど細かいステップに分けていきます。そして一つひとつの動きをプログラミング言語でロボットに指示を出す。このとき、意図した通りにロボットが動いているかを確認して、動きが違っていたり、動かなかったりした場合は、その原因がどこにあるのか、プログラムを見直して修正を繰り返していくことで目標の動きに辿りつくようにしていきます。ロボットの動きを順序だてて考えることで、論理的思考力が養われ、問題解決能力や創造力なども育まれていきます。
4-4.プログラミング教室に通う
プログラミングをするために必須といえる論理的な思考能力。プログラミングを学習すればプログラミング的思考の成長につながります。ただ、子どもがプログラミングを独学で学習するのは難しい面もあるので、プログラミング教室に通うのもおすすめです。プログラミング教室であれば、子どもの年齢やレベルに合わせたカリキュラムを用意されています。
プログラミング教育 HALLOでは、子どもがゲーム感覚で夢中になって学べるPlaygramという教材で学べます。Playgramには子どもが飽きないような仕掛けがさまざま盛り込まれています。ゲームのように進めていくなかで必要な知識を学んでいき、気がついたときには実用できるレベルのコーディングもしっかり身についているのが特徴です。また、個別レッスンなので複数人で学ぶレッスンよりもきめ細かい対応ができるのもメリットです。コーチがヒントを出しながらレッスンを進めるため、自分で考えながら行動する力が身につきます。
自宅学習を毎日15分、週に1回のレッスン、さらに月に1回学んだ内容を自分で発表する機会もあるので子ども自身が自分の成長の実感、達成感などを得ることも可能です。学習管理システムで学習ペースを把握し、子どもの学習の理解度などを考慮しながら効率的に指導できます。
5.子どものプログラミング教室はプログラミング教育 HALLOがおすすめ
プログラミング教育 HALLOでは、子どもがゲーム感覚で夢中になって学べるPlaygramという教材で学べます。Playgramには子どもが飽きないような仕掛けがさまざま盛り込まれています。ゲームのように進めていくなかで必要な知識を学んでいき、気がついたときには実用できるレベルのコーディングもしっかり身についているのが特徴です。また、一人ひとりのペースに合わせたレッスンできめ細かい対応ができるのもメリットです。コーチがヒントを出しながらレッスンを進めるため、自分で考えながら行動する力が身につきます。
自宅学習を毎日15分、週に1回のレッスン、さらに月に1回学んだ内容を自分で発表する機会もあるので子ども自身が自分の成長の実感、達成感などを得ることも可能です。学習管理システムで学習ペースを把握し、子どもの学習の理解度などを考慮しながら効率的に指導できます。
カリキュラム:https://www.hallo.jp/fs/course/curriculum/
5.効率的にプログラミング的思考を伸ばすならプログラミング教室へ
プログラミング的思考は、考え方の基礎になるものです。子どもが大人になった時も役立つスキルです。普段の生活でも、お手伝いやゲームを通して伸ばしていくことができます。しかし、もっと効果的に身につけていきたい場合は、プログラミング教室に通うことをおすすめします。「プログラミング教育 HALLO」では、自分で学んで理解する力を伸ばすための環境が整っています。無料体験も随時受け付けているので、まずは気軽にお問い合わせください。
執筆者:プログラミング教育HALLOコラム編集部