アンプラグドプログラミングとは?授業事例やメリット・デメリットを徹底解説
更新日:2026.1.29
公開日:2026.1.18
プログラミングと聞くと、パソコンを使ってコードを入力するイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。しかし、パソコンを使わずにプログラミングの考え方を学ぶ方法もあります。それが「アンプラグドプログラミング」です。身近な道具や体を使って、順番や条件などの基本的な仕組みを体験的に学べるのが特徴です。近年は小学校の授業にも取り入れられ、子どもたちが遊びながら論理的思考を育む教育法として注目されています。本記事ではアンプラグドプログラミングとは何か、その目的や授業事例、メリット・デメリットを解説します。
この記事の目次
1.アンプラグドプログラミングとは

アンプラグドプログラミングとは、パソコンやタブレットなどを使わずに、プログラミングの基礎概念を学ぶ教育方法のことです。「アンプラグド」という言葉は「コンセントを抜く」という意味があり、機械から離れてプログラミングを体験的に理解する学習法を指します。
授業ではカードや絵本、ブロック、紙などを活用し、命令の順番や条件分岐など、コンピューターの考え方を実際の行動で体感します。例えば、ロボットになりきって指示どおりに動くというようなゲームでは、指示が正確でないと正しい動作ができません。こうした体験を通じて、コンピューターがどのように命令を理解して動いているのかを理解できます。
プログラミングを知らない子どもでも取り組みやすく、思考力やコミュニケーション能力の育成にもつながる点が注目されています。
2.アンプラグドプログラミングの目的

アンプラグドプログラミングのねらいは、コンピューターの基本原理をやさしく理解し、目的に向けて手順を分解・整理して考える「プログラミング的思考」を育てることが中心です。さらに、みんなで課題に取り組む活動を通じて、役割分担やコミュニケーションといったチームワークも養えます。これらの観点から、次に挙げる3つの目的を分かりやすく解説していきます。
2-1.コンピューターの仕組みを理解する
アンプラグドプログラミングでは、コンピューターがどのように命令を受け取り、処理をおこなっているのか、体験を通して理解します。例えば、先生が出す「前に3歩進む」「右を向く」といった指示を順に実行する活動は、プログラムの命令の流れをそのまま表しています。この体験によって、コンピューターが与えられた命令を正確に実行していることを学びます。こうした理解は、今後タブレットやパソコンを使ってプログラミングを学ぶ際の基礎になります。
2-2.プログラミング的思考を身につける
プログラミング的思考とは、目的を達成するために手順を整理し、問題を小さく分け、よりよい方法へ組み立て直す考え方です。ゴールまでの動きをカードで並べ替えるゲームでは、順番を少し間違えるだけで結果が変わり、原因を探して直す体験が得られます。こうした試行錯誤を重ねることで、論理的に考える力や問題解決力が育ちます。さらに、自分の発想を工夫したり、友だちの案を取り入れて改良したりと、創造性や連帯感を持って取り組む考え方も養われます。身についた思考法は、将来のプログラミング学習にはもちろん、日々の勉強や生活の判断にも役立ちます。
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2-3.チームワークを育む
アンプラグドプログラミングの多くは、グループで協力して課題を解決する形式です。チームで目標を達成するために役割を分担したり、意見を交換したりしながら進めます。この過程で、相手の意見を尊重することや自分の考えを伝える力が育ちます。また、誰かが間違えた命令を出すと動作がうまくいかないため、全員で確認し合う大切さも学べます。プログラミングは個人作業の印象が強いかもしれませんが、実際にはチームで協力する力が大切です。アンプラグドプログラミングは、協働を通して「考える力」と「伝える力」を同時に育てていきます。
3.アンプラグドプログラミングが導入された背景

アンプラグドプログラミングが注目されるようになった背景には、教育現場でのプログラミング必修化があります。将来のIT社会を支える人材を育成するために、子どもたちが早い段階から「プログラミング的思考」を身につけることを目的に、2020年度から小学校でのプログラミング教育が必修化されました。しかし、すべての学校に十分なパソコンやタブレットが整備されているわけではないため、機器を使わずに取り組めるアンプラグドプログラミングが有効な方法として導入されました。教室や体育館など、場所を選ばずに実施できる点も大きな利点です。
また、子どもたちにとって遊びながら学べる要素が多く、プログラミングに苦手意識を持たずに取り組めることも支持を集めています。特に低学年のうちは、画面上の文字や記号よりも、体を動かしたり友だちと協力したりするほうが理解が深まる傾向にあります。
このように、教育現場の環境整備の課題と、子どもの発達段階に合わせた学びを両立する方法として、アンプラグドプログラミングが広く導入されるようになりました。
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4.アンプラグドプログラミングの授業事例3選

アンプラグドプログラミングは、絵本やゲーム、体を使った活動など、さまざまな方法で学べます。学校でも取り入れやすく、遊びの延長のように楽しみながらプログラミングの考え方を身につけられる点が魅力です。ここでは、代表的な授業事例を3つ紹介します。
4-1.ルビィのぼうけん
「ルビィのぼうけん」は、世界的に知られるアンプラグドプログラミング教材のひとつです。主人公ルビィの冒険物語を読み進めながら、命令の順番(シーケンス)や条件分岐、「くり返し」といった基本概念を、物語体験と結びつけて自然に学べます。絵本形式なので親しみやすく、低学年でも入りやすい点が魅力です。
授業では子どもたちがルビィになりきり、ストーリーに合わせて指示カードを並べ替えながらゴールを目指します。例えば「右に進む」、「もし障害物があったら左へ」といったカードを順序よく並べないと目的地に到達できません。うまくいかなければカードを入れ替えて再挑戦し、原因を見つけて直す体験を通じて、論理的思考やデバッグ(間違い探し・修正)の力が育ちます。
さらに、グループで役割分担して進めることで、コミュニケーションや連帯感も学べます。活動に必要なのは、絵本と指示カード、簡単なマップ(床マットや紙でも可)などで、家庭でも実施しやすいのが利点です。
4-2.順番・命令を学ぶ「手順ゲーム」
手順ゲームは、コンピューターがどのように命令を理解して動くのかを、体を使って楽しく学べる授業です。教師が「前に2歩進む」、「右に向きを変える」、「目の前のリンゴを取る」などの指示を出し、子どもたちがロボットになりきってそのとおりに行動します。
このゲームでは、命令を出すプログラマー役と、それを実行するロボット役に分かれて活動します。実際にやってみると、「前に進んで」という曖昧な指示では、1歩なのか10歩なのか分からずに困ってしまうことがあります。しかし「まっすぐ3歩進んで」と具体的に伝えると、期待どおりの動きができるようになります。
こうした体験を重ねることで、子どもたちは複雑な作業を小さな手順に分けて考える力や、物事を論理的な順序で組み立てる思考力を自然に身につけていきます。また、友だちと役割を交代しながら進めるため、相手に分かりやすく説明する技術や、一緒に問題を解決するチームワークも育まれます。道具を使わずに楽しみながら、プログラミングの基本的な考え方を学べる優れた学習方法です。
4-3.条件分岐とデバッグを体感する「ロジックゲーム」
ロジックゲームは、「もし〜なら〜する」という条件分岐の考え方を体感的に学ぶ授業です。教室の床をマス目に見立て、「赤なら右へ」「青なら左へ」「それ以外はまっすぐ」といったルールに従ってゴールを目指します。色と動作を対応させることで、条件と結果の関係が直感的に理解できます。進行中に失敗した場合は、どの指示が先に評価されたのか、条件の抜けや順番の誤りがないかを振り返ります。指示を修正して再挑戦する流れは、プログラミングで不具合を直す「デバッグ」の練習そのものです。原因を論理的に探る姿勢や、あきらめずに改善を重ねる粘り強さが養われます。
活動は、ナビ役(指示を出す)とロボット役(指示どおりに動く)を交代しながらおこなうと効果的です。伝える力と受け取る力の両方が鍛えられ、友だちと相談してルールや手順を工夫するなかで、協力する大切さやコミュニケーション力も伸びます。必要な道具はマス目テープや色紙、指示カード程度で十分です。教室はもちろん家庭でも実践しやすく、体を動かしながら楽しく学べる人気の学習活動といえます。
5.アンプラグドプログラミングを取り入れるメリット

アンプラグドプログラミングの大きな魅力は、子どもたちが遊びや活動を通じて自然とプログラミング的思考を身につけられることです。また、パソコンやタブレットなどの端末を使わなくても始められるため、特別な準備がほとんどいらず、どこでも気軽に学習できるのもメリットです。ここからは、アンプラグドプログラミングを取り入れることで得られる代表的な4つの効果を紹介していきます。
5-1.絵本やゲームを使って楽しみながら学習できる
アンプラグドプログラミングは、絵本やカードゲーム、マス目シートなど子どもに親しみやすい教材を使っておこないます。遊びの延長で取り組めるため、自然に学べるのが特長です。特に低学年のうちは、パソコンの操作よりも物語や体験を通して学ぶほうが理解しやすく、意欲も高まります。また、ルールに従って進める活動は、集中力や判断力の向上にもつながります。楽しみながら学ぶことで、「勉強」というより「挑戦」として前向きに取り組める環境が生まれます。
5-2.IT知識不要で始めやすく、小学生でも学習しやすい
アンプラグドプログラミングは、コンピューターや専門知識がなくても始められるのが魅力です。先生や保護者がITに詳しくなくても、説明書やワークシートを参考にすれば十分に指導できます。また、マウス操作やタイピングがまだ難しい小学生でも、自分の体を使って動作を再現できるため、ストレスを感じずに学べます。これにより、プログラミングに対する心理的なハードルが下がり、誰でも楽しく学べる環境を整えやすくなります。
5-3.身の回りの物を使って実践しやすい
アンプラグドプログラミングでは、特別な教材がなくても実践できます。カードや積み木、紙、テープなど、身の回りの物を使うだけで十分です。例えば、教室の床にテープを貼ってマスを作り、命令どおりに動くゲームをおこなうだけでも、プログラミングの基本を理解できます。家庭でも同様に、家庭にある物だけでも取り組めるので、学校や家庭でも運日が簡単なうえに、子どもの創造力を引き出す活動としても効果的です。
5-4.子どもの年齢・発達段階に合わせて学習できる
アンプラグドプログラミングは、子どもの年齢や発達段階に合わせて内容を調整できます。未就学児には絵本やごっこ遊びを中心におこない、学年が上がるにつれてルールを増やしたり、条件分岐を取り入れたりして学習を発展させていきます。一度にすべてを理解する必要がないため、自然にステップアップが可能で、段階的に難易度を上げることで、子ども自身が成長を実感でき、学びのモチベーション維持にもつながります。
6.アンプラグドプログラミングのデメリットや課題

多くのメリットがあるアンプラグドプログラミングですが、一方でいくつかの課題もあります。実際のプログラミング言語に触れないため、コーディングスキルの習得にはつながりにくいことや、新しい教育手法であることから、教材や指導体制がまだ十分に整っていない場合もあります。どのような課題があるのかを紹介します。
6-1.教材・指導体制が不足している
アンプラグドプログラミングの課題の一つが、教材や指導方法が学校や地域によって大きく異なることです。すでに充実した教材を揃えている学校もあれば、教師が手作りで教材を準備しなければならない学校もあり、教育環境に格差が生まれています。特にゼロから教材を作成するのは大きな負担となっているのが現状です。また、学習指導要領では「プログラミング的思考を育む」という目標は示されているものの、授業の進め方や評価方法は詳しく定められていないため、教師によって授業内容や教え方に差が出てしまうことがあります。
6-2.コーディングスキルの習得は難しい
アンプラグドプログラミングは、あくまで考え方を学ぶ教育法です。実際にプログラムを書く、コーディングの技術を身につけることはできません。命令の順番や条件分岐などの概念は理解できますが、キーボード入力や構文の学習には別の段階が必要です。
そのため、将来的にプログラミングを本格的に学ぶ際には、タブレットやパソコンを使った学習への移行が欠かせません。アンプラグド学習は、その前段階として活用するのが効果的です。
6-3.複雑な概念の理解や、学習意識の維持が難しい
アンプラグドプログラミングは、楽しみながら学べる反面、ゲーム感覚で終わってしまうことがあります。特に高学年になると、単純な遊びだけでは飽きてしまい、学習意欲を保つのが難しくなることがあります。また、視覚的・抽象的なプログラムの仕組みを理解するには、アンプラグドだけでは限界があります。複雑なロジックやアルゴリズムを学ぶには、実際のプログラミング環境に触れる必要があります。そのため、次のステップへの導入として位置づけることが重要です。
7.アンプラグドプログラミングに関するよくある質問

7-1.アンプラグドプログラミングを始めるには?
アンプラグドプログラミングに特別な準備は必要ありません。紙やカード、積み木など身近な道具を使って、簡単な命令ゲームから始められます。家庭では、保護者が子どもに指示を出し、正確に動けるか確認する遊びが効果的です。学校の場合は、市販の教材やワークシートを活用するとスムーズです。まずは「順番どおりに動く」活動から始めてみましょう。
7-2.アンプラグドプログラミングの対象年齢は?
アンプラグドプログラミングは、未就学児から小学生まで幅広く取り組めます。4歳前後なら絵本やごっこ遊び、指示カードで順番を並べる活動から始めると理解しやすいでしょう。低学年では矢印カードで経路を考え、高学年では条件分岐やくり返しを取り入れて発展させます。年齢に合わせて題材と難易度を調整すれば、無理なく継続できます。遊びのなかで考える力や協力する姿勢が育ち、学びへの意欲も高まります。
7-3.アンプラグドプログラミングの教材は無料?
多くのアンプラグドプログラミング教材は無料で利用できます。教育機関や企業が配布しているワークシートや授業例を活用すれば、準備も簡単ですぐに学習を始められます。一部の絵本教材などは有料ですが、比較的安価で長く使える物が多いのも特徴です。無料教材から試してみて、子どもの反応を見ながら発展させていくとよいでしょう。
8.子どものプログラミング学習なら「プログラミング教育 HALLO」

プログラミング教育 HALLOは、初心者でも楽しく学べるプログラミング教室です。アンプラグドの段階から次のステップとして、実際にコードを書く力や問題解決力を育てることを目的としています。ゲーム感覚の教材を使いながら、自分で考え、試行錯誤しながら成果を形にできる仕組みが整っています。また、コーチが一人ひとりの理解度に合わせてサポートするため、初めてのお子さまでも安心です。
プログラミング教育 HALLOでは、プログラミング的思考はもちろん、論理的思考力や創造力、表現力など、未来の学びに必要な力をバランスよく育てられます。全国の教室やオンラインで体験できるので、興味がある方は公式サイトをチェックしてみてください。
9.まとめ
アンプラグドプログラミングは、コンピューターを使わずにプログラミングの基礎を学べる教育法です。命令の順番や条件の考え方を体験的に理解でき、遊びながら論理的思考を育てられます。
一方で、実際のコーディングスキルを学ぶには限界があるため、将来的にはデジタル学習との組み合わせが効果的です。まずは身近な道具を使って、子どもたちが楽しみながら考える習慣を身につけることから始めましょう。プログラミングを学ぶことは、未来を生きる力を育てる第一歩になります。
