数学はプログラミングに必要? 数学の知識が役立つプログラミングの分野や学習法を解説
公開日:2025.4.21

近年、子どもの能力開発や自分の起業、副業のスキル向上においてプログラミングへの関心が高まっています。多くの方がその習得を目指していますが、そんな中でよく耳にするのが「自分は理系じゃないから」「数学が苦手で」という声です。確かに、プログラミングにおいて数学の知識が役立つ場面はありますが、一方で、数学が得意でなくても活躍している文系プログラマーが数多くいることも事実です。
今回はプログラミングにおける数学知識の有効性を説明するとともに、数学に自信がない文系プログラマーにも大いに活躍する場があることをご紹介し、アプローチの仕方から学習法まで紐解いていきます。
この記事の目次
プログラミングに数学の知識は必要?
プログラミングは文系か理系かといえば理系の仕事なので、「数学の知識がある程度なければ始められないのではないか」と考えられる方は多いことでしょう。
たしかに数学の知識が役に立つ場面はありますし、それによって、プログラミングへの理解がスムーズになり、習熟が深まることもあります。しかし、数学の知識や能力がないからといって諦める必要はありません。むしろ文系ならではの思考法や世界観によって、プログラムの世界が自由自在に広がっていくケースが少なからずあるのです。ここでは数学が苦手な方でも取り組みやすい学習方法などをお知らせいたします。
数学を学んでおくことのメリット
まず数学が役に立つ場面から見ていきます。プログラムに条件式を組み込んだり、計算や計測の指示を出したりするときには数学の論理的思考が役立ちます。プログラミングの基本となるアルゴリズムは論理、数学的方法論で成り立っています。アルゴリズムはその都度解決すべく問題へのアプローチ方法で、その手順や方法はもちろん、問題の理解や解決への考え方なども、指揮命令系統は数字、論理、数学的に行わなければなりません。
すでに数学を学んでいるならば、それがプログラミング習得への土台、メリットとして機能します。
数学の知識があると有利になるプログラミングの分野
さらに、以下の分野では数学の知識が有利に働きます。
①ゲームプログラミング
②AI開発(人工知能)
③統計処理
④画像処理
⑤信号処理
⑥テキストマイニング(テキスト解析)
ひとつずつ、以下で詳しくご説明します。
①ゲームプログラミング
キャラクターのステータス、ダメージなどを計算し、算出していかなければなりません。
さらにキャラクターが3Dであれば、それを動かすには三角関数や物理の知識も必要になります。よりリアルでより細やかな動きをキャラクターにさせるには、その分より複雑な計算が求められるのです。そうした知識がゲームの完成度を高めていきます。
ゲームプログラミングは数学の知識が大いに役立つジャンルです。
②AI開発(人工知能)
進化が著しい生成AI(人工知能)の開発は数学の知識なくしてはできません。
データのインプットからその解析、予測、制御も緻密に計算したプログラミングによって構成されています。
これらの膨大なデータを扱うには微分積分、線形代数、数理統計学などの理論が求められます。
③統計処理
統計処理のプログラミングには統計学の知識が必要になります。
統計処理は数学的な計算によってなされます。統計処理の要は、膨大で多岐にわたるデータを分析し、そこから一定のパターンや法則を見出していくことです。それらがマーケティングなどの現場で役に立つのです。データ解析をはじめ統計処理システムのプログラミングには標準偏差や分散、最頻値などの知識が必要になります。
④画像処理
スマートフォンの画像処理などにも、数学の知識が必要になります。
画像はコンピュータ上では数値で構成されるデータです。それを処理するには計算によって数値を整えていかなければなりません。また、スマートフォンやPhotoshopでさえも、カメラアプリなどを開発するためには、さらに高度なデータ処理による数値の変換、解析が求められるので、それらには数学的な知見によって対処することになります。
⑤信号処理
画像のみならず、光や音をコンピュータで扱うときは、それらを信号として数値化し、処理していくことになります。
信号分析は数理手法で行われ、それを加工する際のプログラムもその開発にも、数学の知識が必要になります。高度な信号処理には離散フーリエ変換、離散コサイン変換などの理論が必要なのです。
⑥テキストマイニング(テキスト解析)
膨大なテキストデータを分析処理し、そこから有益なデータを抽出していくことをテキストマイニングと呼びます。その処理は数値、つまり数学的な計算によって行われ、精度を高くしていくにはより高度なプログラムを構築し、より複雑な計算値や理論を駆使しなければなりません。それらによって、顧客の抱えている課題や関心の解決に役立つキーワードを導くことができるのです。
数学以外でプログラミングに必要な知識・能力は?
こうした数学の知識以外にも、プログラミングに有効な知識や能力があります。
1.問題解決能力
2.コミュニケーションスキル
3.英語力
などです。詳しく見ていきましょう。
①問題解決能力
プログラマーに求められる重要な資質として、顧客のニーズを的確に把握し、その抱えている問題を効果的に解決する能力です。実際、企業で働くプログラマーのうち、6~7割が文系出身であるという事実は、まさにこの「文系的な理解力」に基づく問題解決能力の重要性を示しています。顧客の要望をよく理解し、それを可能にするシステムを設計して一つずつ根気よく構築していく工程は、文系エンジニアが本領を発揮する場面です。数学的な知識や能力では有利なはずの理系の人が、そうしたメンタル面でついていけず、辞めていってしまうケースも少なくありません。ことほどさように、文系の人間力、問題解決能力が有効な世界なのです。
②コミュニケーションスキル
また、プログラマーとして企業で働く際にはコミュニケーション能力が問われてきます。開発の依頼者である顧客との間での円滑なコミュニケーションが不可欠で、とくにトラブルやクレームが生じたときには、問題と誠実に向き合い、丁寧に冷静かつ適切に対処していく人間力が必要になります。
プログラマー同士のコミュニケーションも大切です。案件が大きくなるにつれ、チームの人数も増えてくるので、開発計画をきちんと進めていくにはメンバー間の十分な意思疎通を図るとともに、ときにはチームを鼓舞し強力に統率できるようなリーダーシップが求められます。こうしたコミュニケーション能力は、一般に理系よりも文系の人が得意とされています。
③英語力
プログラミングは基本言語が英語という世界です。プログラムでは「If~」などの英語が日常的に使われますし、基本的な英文法や英単語を理解していないと仕事になりません。プログラム開発のドキュメントも英語なら、情報も英語のものが主流で、翻訳ソフトで理解することもできますが、欧米のスタッフとの日常のやり取りなどの際は英語力がモノを言うことになります。
コミュニケーション能力は必須の上で、英語での対話、交渉までできて当たり前という世界になっているのです。ここでも文系のプログラマーが半数以上、企業に在籍している理由がお分かりいただけるのではないでしょうか。
数学が苦手な人でも取り組みやすいプログラミングの学習方法
数学が苦手でも、文系型のプログラマーになる道はあります。そのために有効な学習方法として、
1.ビジュアルプログラミング言語から始める
2.ゲームやアプリを使って学ぶ
3.プログラミングのロジックを理解する
が挙げられます。
①ビジュアルプログラミング言語から始める
ブロックやタイルの形をした命令を組み合わせることによって、プログラミングを行うことをビジュアルプログラミングと呼びます。文字や記号を覚える必要もなければ、数学の計算式も必要なく、ビジュアルとして直感的にプログラミングを習得していく方法として知られています。その教材は無料で利用できるものも多く、ご家庭のパソコンやタブレットでも気軽に始められます。
関連リンク:https://www.hallo.jp/column/post-278/
②ゲームやアプリを使って学ぶ
ゲームやアプリでプログラミングの基礎を学ぶこともできます。たとえば「GLICODE(グリコード)」はポッキーを並べてプログラミングしていくゲームで、対象は小学校低学年以上です。
無料でプレイすることができるゲームやアプリも多数出ていますから、興味を持てる簡単なゲームから気軽にはじめてみるとよいでしょう。
難しく考えず、楽しむことが肝要です。
③プログラミングのロジックを理解する
プログラミングは「ロジック」を理解すると修得が早いと言われています。ロジックには一般に論理や筋道といった意味がありますが、プログラムの世界では「ロジック」は処理内容や手順、方法のことで、簡単に言うと自分の思い通りにコンピュータを動かす基本的な知識を意味します。プログラミングロジックは入門書がたくさん出ており、そこから体系的な知識をインプットしていく方法が有効とされています。
プログラミングのスキルを効率的に身に付けるには?
プログラミングを学ぶ方法は自分で選ぶことができます。
1.本(参考書)で学習する
2.学習サイトを利用する
3.プログラミングスクールに通う
が効率的に身に付ける方法として、挙げられます。
①本(参考書)で学習する
独学で学ぶのであれば、参考書は非常に有効なツールです。プログラミングを学ぶ本には、スキル重視のものや、ロジックからアプローチするものなど、さまざまな内容や方法論があります。そのため、まずは基本をしっかりと習得した後、自分自身のゴールを設定し、そのゴールに向かって進むためのアプローチとして、いくつかの本を選んで学習を進めていくのが効率的です。こうした本は高くても数千円程度で購入できるため、比較的低コストで気軽に学び始めることができます。
しかし、独学で本に向き合うだけでは、途中で疑問点が解決できず、学習が行き詰まることも少なくありません。そうした状況に陥らないよう、注意が必要です。
②学習サイトを利用する
学習サイトの利用というのは、オンライン上のサイトでプログラミングを初歩から学んでいく方法で、テキストや動画などをインターネット上で閲覧しながら独学していくスタイルです。ほとんどが無料のうえ、言語も豊富で、さまざまなプログラミング言語が容易に学べる時代になりました。初心者で、何から始めればいいのか分からなかったり、プログラミング習得によってどんな仕事や夢につなげるかがまだ見えていなかったりという方でも、さまざまな言語を試しながら、道を定めていくことができるでしょう。カリキュラムは初心者から中級者くらいのレベルがほとんどですので、初心者でも安心してステップアップしていくことができます。
③プログラミングスクールに通う
プログラミングスクールはオンラインサイトではなく通学式の専門教育機関で、最も効率的に、かつ楽しくプログラミングを習得していくことができます。独学では問題にぶつかって先に進めないようなときでも、講師から直々にアドバイスをもらうことができますし、同じプログラミングを習得する仲間がいることが励みにもなって、充実した時間を過ごすことができます。
子どもを対象としたものから大人を対象としたものまで多種多様なコースがあり、スクールによって特色も異なりますが、一人ひとりの理解度に合わせて個別指導が受けられるところもあり、進路への道筋も示してもらえます。
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プログラミング教育 HALLOでは「年長・小学生・中学生のための本格プログラミング教育」と銘打ち、「自分で学び、自分で理解していく力」を育むことによって、IT社会とグローバル社会に活躍できる人材の育成を目指しています。独自に採用している教材「Playgram」はゲーム感覚で学習を進める事ができます。とにかく子どもが夢中になる仕掛けがたくさん組み込まれています。一人ひとりの学習時間や頻度、各ステージの理解度や進度などを把握し、そこに、やる気スイッチグループの個別指導メソッドをかけ合わせて、それぞれに個別最適化されたレッスンを行っています。サービス内容はHPにもありますが、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフが対応させていただきます。
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まとめ
IT化やDX化が進む中で、プログラマーやエンジニアの需要がますます高まっています。これらの職業に共通して求められているスキルは、プログラミングです。プログラミングにおいては、理系の数学的素養が必要だと思われがちですが、実際には文系にも大きなチャンスが広がっており、むしろ文系出身者が現場で活躍している場面も少なくありません。「数学が苦手だから」と選択肢を狭めるのは、非常にもったいないことかもしれません。ここで選択肢を広げ、可能性を感じていただけると、明日への一歩を踏み出す手助けになるでしょう。