【完全ガイド】STEM教育とは?概要と世界・日本の事例を徹底解説
更新日:2026.1.20
公開日:2022.9.23
IT全盛期到来に伴い、今後はさらにAIを活用する社会になることが予想されます。Meta社(旧Facebook社)のマーク・ザッカーバーグ氏や、Amazon.comのジェフ・ベゾス氏は、一代で世界的なIT企業を築き上げました。STEM教育は、そのような優秀な人材を生み出すための一つの道筋といえるでしょう。本記事では、子どもの才能を開花させるSTEM教育の基礎知識や日本におけるSTEM教育の現状まで詳しく解説します。
この記事の目次
1.STEM教育とはどのような教育?

ここでは、STEM教育の意味や手法、必要性などを解説していきます。
1-1.STEM教育の意味
STEM(ステム)教育とは、以下の4つの頭文字から作られた造語です。
・Science(科学)
・Technology(技術)
・Engineering(工学)
・Mathematics(数学)
理数系の4科目を連携させて、横断的に学んでもらう教育方針となっています。
この4科目にArts(教養・芸術)が加わった「STEAM(スティーム)教育」という言葉も生み出されていますが、STEM教育ほど注目されていないのが現状です。まずは、基本となるSTEM教育についてしっかりと学ぶことが大切といえます。
STEM教育は、子どもが与えられた指示に従うだけではなく、自主的に学ぶことを見つけて試行錯誤しながら解決していくアクティブラーニングを重要視した教育法です。
日本は、世界的に見るとSTEM教育の面で遅れをとっているとされています。ただ、2020~2022年にかけて小・中・高校のプログラミング教育が順次始まったことから、STEM教育の注目度はさらに高まっていくことが予想されます。
1-2.STEM教育の手法
STEM教育の目的は、子どもが自ら課題を見つけ、試行錯誤しながら解決策を生み出す力を育むことにあります。単なる公式の暗記や与えられた問題の反復ではなく、科学・技術・工学・数学の知識を横断的に活用し、体験を通じて理解を深めるアクティブラーニングを中核に据えるのが特色です。
今後はSTEM関連の職業がさらに増え、相応の知識とスキルを備えた人材への需要が一段と高まると見込まれます。その基盤となるのが、主体的に学びを設計し、工夫を重ねて前進する姿勢です。早い段階から自律的な学習習慣を育てることが、変化の速い社会で活躍する力につながります。
1-3.STEM教育の必要性
STEM教育は、1990年代のアメリカで生まれた言葉です。科学・技術・工学・数学の4分野を重視し、次世代の技術革新を担う人材を育てることを目的としています。2000年代には、当時のオバマ大統領がSTEM教育の重要性を強調したことで注目を集めました。背景には、急速なIT化やグローバル競争のなかで、創造的に問題を解決できる人材の育成が急務となったことがあります。こうした流れが、現在の日本でもSTEM教育が重視される理由につながっています。
2.STEM教育から派生した教育手法
STEM教育は、さまざまな方面に影響を与えています。それに伴い、さらに補強された教育システムや別の方向性から考えられた教育手法が生まれていることをご存じでしょうか。ここでは、STEM教育から派生した教育手法を5つ紹介します。
2-1.STEAM教育

上述したように、STEAM教育はSTEM教育にArt(芸術)の頭文字を加えたものです。Artは、日本語でいえば美術・芸術といった意味ですが、広い範囲では「教養」と解する場合もあります。
STEAM教育は、ITやデザイン性、文化、社会学なども含めた教育法です。日本では、まだ認知度が低いSTEAM教育ですが、アメリカではすでにSTEAM教育にシフトチェンジし国家戦略として取り組まれているほど注目されています。
2-2.STEAMS教育
STEAM教育に、S(Sports)を加えたものが、「STEAMS(スティームス)教育」です。静岡トヨペット株式会社(現トヨタユナイテッド静岡株式会社)が造語したといわれています。
STEAM教育に、体を動かすスポーツを加えることで感性を磨くことも大切という考え方です。子どもが参加するイベントに、STEAMS教育を取り入れて親子で遊びながら自然を体験するなどが期待できます。
2-3.STREAM教育

STREAM(ストリーム)教育は、STEAM教育にRobotics(ロボット技術)の頭文字を加えた教育法です。ロボット技術の目覚ましい進歩とともに、ロボットを業務に取り入れる企業も増加しています。
STEAM教育にロボット技術教育を加えて人材を育てれば、将来的にロボットだからこそできる業務が増えたときにも役立てることが期待できるでしょう。日本では、すでに少子高齢化社会となっていますが、今後さらに超高齢化社会を迎えたときに、国の労働力を支えることが期待されているのがロボット技術です。
2-4.E-STEM
E-STEM(イーステム)教育は、STEM教育にEnvironmental(環境)の頭文字を加えた教育を指します。STEM教育に環境教育を加えることで、身近な環境から地球全体の環境まで幅広く考えられる人材の育成を目指す教育法です。
現代では、地球の環境破壊や異常気象が世界的に問題となっているため、人に対してだけではなく自然にも配慮できる思考力を持った人材が求められています。E-STEM教育をおこなうことで、理数系の技術・スキルアップを目指すだけでなく幅広い環境教育を学ぶことが可能です。
2-5.GEMS
GEMS(ジェムズ)は「Girls in Engineering, Math and Science(女性のための数理工学と科学)」の頭文字からなるプログラムで、女性がSTEM分野で力を発揮できるよう支援することを目的としています。現状ではSTEM領域における女性の比率が低いため、基礎から応用までの知識や技能を体系的に学ぶ機会を提供し、女性の社会進出やジェンダー平等を進める取り組みとしても注目されています。なお、GEMSは「Great Explorations in Math and Science」の略として使われる場合もあり、数学と科学を楽しく探究する体験型学習を通じて興味や関心を育むことを目指します。
3.STEM教育と関連する言葉
STEM教育をおこなう際には、「ICT」「EdTech」の2つを避けて通ることはできません。ただ、なかには初めて聞いた人やそれぞれの意味・役割がよくわからない人もいるのではないでしょうか。そこで、ここからはICTとEdTechがSTEM教育にどのようにかかわっているのかを確認してみましょう。
3-1.ICT

ICTは、「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、IT機器を利用して主にインターネット上でコミュニケーションをとる技術を指します。例えば、日常的に意識せずにおこなっているメールやSNSでのやりとりもICTの一つです。STEM教育では、タブレットなどを利用して双方向の学習をおこなうため、ICT環境を整えることは必須といえるでしょう。ITを活用して、暮らしを豊かにすることを目指すのがICT技術です。
3-2.EdTech
EdTechは、Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、教育現場にテクノロジーを取り入れて変革を目指すことです。例えば、「ICTの応用としてオンライン学習やVR(バーチャルリアリティ)の活用」「学習内容を最適化するアダプティブラーニングと学習管理の効率化」などが挙げられます。EdTechを発展させることで、STEM教育の加速が期待できるでしょう。
4. 日本と世界のSTEM教育・STEM教育の具体例
STEM教育やSTEAM教育は、学校、国・地域によってさまざまな取り組みがなされています。日本や諸外国でどのような取り組みがおこなわれているのでしょうか。ここでは、日本、アメリカ、中国、韓国、シンガポールの具体例を紹介します。
4-1.日本
日本では、文部科学省が中心となってSTEAM教育の推進を進めています。AIやデジタル技術が急速に進化するなかで、創造的に課題を解決できる人材の育成が国の重要な目標となっているためです。文科省は、2020年度の学習指導要領改訂以降、教科横断的な学びを重視し、情報活用能力や探究的な姿勢を育む教育を強化しています。こうした流れを受けて、東京都の成徳学園中学・高等学校ではSTEAM教育専用の新校舎を設け、「Global Thinking」や「ICT&Innovation」を掲げた先進的な学びを展開しています。自由な教室環境のなかで、生徒たちは自主的にグループを作り、お互いの知識を教え合うなどしてITを取り入れた作品を作っています。環境が整うだけでも、STEAM教育を実現することができるといえるでしょう。
4-2.アメリカ

アメリカでは、さまざまな取り組みがなされていますが、ここでは大学のサマーキャンプについて取り上げます。例えば、スタンフォード大学では国内外の小中学生向けにSTEM教育プログラムの体験をおこなっています。ロボット製作やアニメーション、グラフィックデザイン・ゲームデザインなど豊富なクラスが用意されており、講師はエンジニアなど実際に最先端IT企業で働いているプロばかりです。講師以外にも、子ども7人につき1人以上のアドバイザーが担当者としてついています。
また、アリゾナ州立大学では、ゲーム開発をおこなうゲームキャンプが開催されました。アリゾナ州立大学は、アメリカでも指折りの研究大学です。同キャンプでは、実際におこなわれている授業をもとにしてゲーム開発をおこなっています。プログラミングやトップ企業のデザインツールを学んだり、キャンプ中の課題としてTシャツを作ったりするなど楽しみながらSTEAM教育を受けられる仕組みです。
4-3.中国
中国では、2018年に「中国STEM教育2029革新行動計画」が発表されました。2017年には、すでに山東省の小学校でプログラミング言語Python(パイソン)を活用したプログラミング教育が進められています。AIの人材不足解消を目的とし、国を挙げてプログラミング教育に力を入れているのが現状です。そのため、保護者も教育費用を惜しまず、課外学習をしている子どもが少なくありません。
また、地域によってはプログラミング学習に補助金が出るところもあるほどです。さらに、都市と地方の教育格差を埋めるために、オンラインでプログラミング学習ができる環境を目指しています。
4-4.韓国
韓国では、初等教育を中心にSTEM教育にArtを加えたSTEAM教育をおこなっています。高校生の理系離れが顕著となったことをきっかけに、STEAM教育、正確には義務教育全体で理数強化のために芸術教育を融合する授業を取り入れるようになりました。具体的には、STEAM教育のプログラム作成や教員の育成に力を入れており、「自動運転・人工知能など」「スマートフォン・ドローンなどのテクノロジー活用」「音楽や芸術」「ブロックチェーンなどの先端技術と仕事」という4つの教育カリキュラムを各学校で実行可能です。
4-5.シンガポール
シンガポールは、世界でも指折りの学力の高さで有名です。2014年には、STEMプログラムの提供をする「ステムインク(STEM Inc)」も設立されました。ステムインクからは、各学校に講師が派遣され、「工学&ロボット工学」「コーディング&プログラミング」「食品生産科学」など8つのカリキュラムで生徒に教えています。
国民もSTEM教育に関心が高く、座学より体験学習(ハンズオン)を重視している学校が多い傾向です。授業では、キットが使用されることもありますが、使用する素材にこだわりは持たず、身近なものを使ってSTEMの課題に取り組んでいます。
4-6.EU
EUでは、科学技術分野の人材育成を国家戦略として位置づけ、自然科学や工学分野の卒業生を増やす取り組みを進めています。教育現場では、創造性やイノベーション志向、起業家精神を育むカリキュラムを重視しています。その一環として、EUは「Scientix(EU科学教育コミュニティ)」を設立し、教員や研究者がオンラインで教材や実践事例を共有できる仕組みを整えました。加盟国が連携してSTEM教育の質を高めることを目的としています。
5.日本のSTEM教育の現状
将来の日本の国際競争力に大きくかかわるため、STEM教育で優秀な人材をより多く育成することが求められていますが、日本は周辺国と比べてSTEM教育が進んでいるのでしょうか。ここでは、日本のSTEM教育の現状について紹介します。
5-1.日本におけるSTEM教育への取り組みは遅かった
日本の教育現場においてICT環境の整備が遅れていることが課題とされています。文部科学省の推進によりタブレット端末やネットワーク環境の導入が進められましたが、学校によって設備の差が大きく、通信速度や機器の老朽化が授業の妨げになるケースもあります。2018年のPISAがおこなった「ICT活用調査」によると授業内デジタル機器使用時間において日本はOECD加盟国の最下位でした。さらに、理科やプログラミング教育を担当できる教員の不足も深刻で、STEM教育を広く定着させるには人材と環境の両面で整備が必要です。
5-2.STEM教育研究センターを開設
2002年に、埼玉大学で「STEM教育研究センター」が開設されました。教育方法や指導者の育成について研究している専門家を中心に、外部の共同研究機関、さまざまな教育現場と連携して運営している施設です。また、STEM教育のワークショップ、ロボット教材の開発などもおこなっています。
民間でも、企業や機関がSTEM教育のサービスを展開して政策の遅れをカバーしており、例えばプログラミング教室や体験イベントなどが開催される機会も増加傾向です。
5-3.文科省がスーパーサイエンススクールを指定
2002年頃からは、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)がスタートしました。SSHとは、先進的な理数教育の実施や、国内STEM教育の先駆けになっている取り組みのことです。科学技術力の高い人材を育成することを目的とし、2021年現在で218の学校がSSH指定校となっています。
指定校の多くは、授業を大学や研究機関などと連携した内容にしたり、企業・実験施設などを見学したりするなど、発展的な活動が認可されている公立高校です。SSH指定校では、4年制大学の理系学部に進学する生徒が増加し、全国平均と比較して男子で約2倍、女子で約3倍という結果が出ています。
5-4.プログラミング教育を必修化

日本国内の小学校でプログラミング学習が必修化されたのは2020年からです。中国では、2017年の時点でからすでにPythonを取り入れる小学校もあり、海外に比べてったことを比較すると、日本での取り組みが少し遅れて始まりました。プログラミング教育の必修化は遅れているとい言わざるを得ません。
しかし、その分これからの成長の余地が大きく、教育現場の変化が加速しているのが今の日本です。日本では、必修化こそされたものの、ICT環境の整備や教員研修の育成、教材開発など、さまざまな課題に一つひとつ取り組みながら、全国の学校で子どもたちが「考える力」や「創る力」を育める環境づくりが進んでいます。
これからの時代、プログラミング教育は「一部の特別な学び」ではなく、すべての子どもが未来を切り拓くための“共通言語”となっていくでしょう。学校教育に加えて、家庭や地域、民間の学びの場が連携しながら、日本の子どもたちが世界に誇れる創造力を育てていくことが期待されています。
6.STEM教育をより効果的なものにするには

6-1.教材を用いて家庭で取り組む
STEM教育でも、中心的なのがプログラミングです。始めたばかりのころは、とにかくトライ&エラーで学んでいく傾向があります。うまくいかないことがあったとしても、根気よく取り組めれば問題ありません。しかし、うまく取り組めなかったり、限られた授業時間内で進められなかったりすると苦手意識を持ってしまう可能性もあります。
そのため、教材などを活用した家庭学習で保護者がフォローしていくことが大切です。そのなかで、子どもがもし失敗することがあっても、「失敗して当たり前」という気持ちでポジティブに進めていくようにしましょう。
6-2.習いごととして教室に通う
家庭で子どものプログラミング教育をフォローしたくても、「学ばせ方がわからない」「教材の内容をうまく教えられない」といった悩みがある保護者もいるのではないでしょうか。上述したように、現状学校でおこなっているプログラミング教育は発展途上というケースは珍しくありません。そのため、プログラミング教育の重要性を理解している保護者のなかには、いち早く子どもをプログラミング教室に通わせている人もいます。STEM教育を掲げているところであれば、ほかの教科にも好影響が期待できるでしょう。
7.プログラミング学習ならプログラミング教育 HALLOで

STEM教育の推進に伴い、産業の現場ではプログラミング人材の需要が年々高まっています。日本でも小中高でのプログラミング必修化が進み、国を挙げて情報活用能力の育成が図られています。効率よく基礎から実践まで身につけるなら、独学よりも専門的のスクールで体系的に学ぶことが近道です。
プログラミング教育 HALLOは、ゲーム感覚のカリキュラムと段階的なレッスンで、楽しさと学習効果を両立します。子ども一人ひとりの理解度に合わせて進度を最適化し、試行錯誤を積み重ねながら着実にレベルアップできます。教材はオリジナルに開発された「Playgram」を使用し、作品づくりに没頭できるクリエイトモードで主体性と発想力を育めるのも特長です。学びを進めていくうちに、論理的思考や問題解決力はもちろん、表現力までバランスよく鍛えられます。保護者や子どものライフスタイルに合わせて、教室に通うだけでなく、オンライン受講も可能です。また、保護者向けに子どもの学びの進捗確認もおこなうなど、忙しいご家庭でも続けやすい環境が整っています。小学生から中学生まで対応し、コーチのサポートで初学者も安心して始められます。学習データに基づく振り返り機能により、達成感を積み重ねられ、実務につながる基礎も早期から意識できるカリキュラムが組まれています。
8.まとめ
STEM教育は理数横断で自ら課題解決力を養う教育で、ICT・EdTechの活用とともに世界で推進が進みます。一方、日本はICT環境や教員不足によって、STEAM教育に遅れがあることが課題となっています。それを補うには、学校の授業と合わせて、家庭学習や専門教室での学びがおすすめです。プログラミング教育 HALLOは楽しく実践力を伸ばし、通学やオンラインで継続しやすい学習を提供します。各国で学校改革やキャンプが進むなか、日本も早期からの素養育成が重要です。
執筆者:プログラミング教育HALLOコラム編集部




